実務翻訳雑記帳

特許・技術・法務系の和英翻訳ノート

英語の資格試験

翻訳者として求人に応募する時に、英語の資格が何か必要なのかというと、あまり関係ないと思います。

特許事務所の求人でも、内勤の事務員さんとかは、TOEIC 860点以上だのなんだのと要求されるのに、翻訳者はそういうのがあまりありません。

特に、フリーランスの翻訳者には、トライアルをさせてみて、その結果で合否を決めるので、英語の資格はあまり参考にならないということもあります。それに、雇用するわけではないので、使ってみてダメならすぐ切ればいいのでしょう。

ただ、最近は、入札案件などで、翻訳者はTOEIC 920点以上のスコアが必要とか、奇妙な条件がつくことがあって、それをクリアするためだけに、資格試験を自費で受けなければならない、ということもあるようです。

入札単価がどんどん下がり、能力的に不十分な落札者が品質を下げていくという、負のスパイラルがあります。それをどうにかしようとして、TOEICとかになるのでしょう。

問題の解決には程遠い気がしてため息が出ます。

 

フツウに翻訳やっている人は、受験してみれば、TOEIC L/Rで900点はいくと思うのですが、その先は、器用さとか、テストスキルなんかで、得点が大きく左右されるような気もします。

大先輩の優秀な翻訳者でも、満点とったことがないという人もいます。逆に、満点であってもそれを仕事に活かせないでいる人もいます。

資格試験用の「英語力」と翻訳の「英語力」とは違うので、アドバイスを求められたときには、あまり受験を勧めません。それよりも、実際に特許明細書を訳してみる方が、よっぽど有用なので。

もちろん、職務経験がない場合などは、工業英検とか、実務内容に近い資格があるといいのかもしれません。トライアル受験の段階で足切りされないためにも。

 

日本ではTOEICや英検がメジャーですけれど、アメリカであればTOEFL、イギリス系ならIELTSの方が、何かと役に立ちそうですよね。

総合的な英語力が端的に現れるのはスピーキングだと思うので、各種資格試験においてもスピーキング重視の方向がみられます。

私としては、自分の貧弱なスピーキング能力を向上させたいと思っているので、TOEFLやIELTSに興味があります。

でも、日本ではTOEICや英検ほど知られてないので、仕事には使えないかもしれませんね。

英語関係の業界で、TOEFLやIELTSを知らないでどうするの、とは思いますけど、普通の人はそんなに英語にばかり夢中じゃないし、とりあえずTOEICにしておけば面倒が少ないのでしょう。受験料も安いし。