実務翻訳雑記帳

特許・技術・法務系の和英翻訳ノート

英語学習法

海外生活とか留学とか全く経験ないので、いつまでも英語には自信ないです(苦笑)。仕事は、きっちり調べて頑張ってるので、あまりご迷惑かけてないと思うのだけど、「英語力」というスペクトラムは相当に幅広いので、各専門分野の実務翻訳に使う能力は、そのほんの一部でしかないわけです。

自信がないだけに、いつも英語を勉強しなくちゃと思い詰めてますが、受験とかが控えてるわけでもないので、まぁそれは趣味のような感じで、気楽なものです。

翻訳やってると、英語力が高いと誤解されることが多く、勉強法を聞かれたりもします。自分の能力の偏りを正確に伝えようとしても、謙遜していると思われるだけで不毛なので、そこはスルーして、とりあえず何かアドバイスしたりすることに…。

仕事と関係なく、旅行や趣味で英語を使いたいという人には、オーソドックスな勉強法はあまり勧めません。そういう動機だと、普通の勉強法を継続するのは難しいです。文法書や会話集などを地道に覚えたとしても、旅行のときとかに何か質問すると、返事の英語が聞き取れなくて、以後、話しかけられなくなったりするんですよね。

最適な勉強法というのは、本当にパーソナルなもので、結局は自分にあったものを模索していくしかないわけですが、とりあえずすすめるのが、南谷三世(Rach)さんのサイトや、御著書の『海外ドラマDVD英語学習法 日本で、自宅で、一人で、ここまでできる!』。

これも万人向けではないですが、汎用度は高く、ハマる人も多いです。このサイクルに入れた人は、まぁふつうに喋れるようになりますね。それに、ベンキョーしてるという意識を抜けて継続できるので、他に方法が思いつかない人は、試しにやってみるといいと思います。教材は「フレンズ」じゃなくても、なんでも好なのを選んだ方が続くし、一度見たことのあるドラマだったら、「(はしょる)3段階」(上記サイト参照)をさらに短縮した「最速2段階」(上掲書参照)がスピーディーでいいかもしれませんね。あと、慣れてきたら、再生速度を調整してどんどん加速したらいいと思います。

あと、南谷三世『読むだけ なるほど! 英文法』もとてもいいです。手に取った雰囲気以上に内容はハイレベルなのですが、わかりやすいし、意外な盲点となるポイントがしっかり書かれてます。それに、通読できる文法書という点も貴重です。プロを目指す人は、田中茂範『表現英文法 増補改訂版』とか、綿貫陽、マーク・ピーターセン『表現のための実践ロイヤル英文法』とか短期間で通読してもいいんですが、普通の人はやりませんよね。

会話学校や英語学校に通うのは、コスパが悪い気がします。それに向いてる人もいるのでしょうが、他人とペースをあわせて勉強するのは、効率が悪すぎるのではないでしょうか。

勉強っぽくやってみたければ、English Centralなんかを、しばらくやってみてもいいかもしれませんね。高校生の娘がやっていて、結構よさそうですし、効果も出てます。ただ私の場合、あまりこういうのに興味がもてません。やっぱり、オベンキョー的な仕事が増えると、負担なんですよね。「努力」してるようじゃ継続できない、というか…。

私の場合は音声よりも活字のほうが圧倒的に好きなので、ひたすら読書するというのが合ってます。小説だと、会話表現とかもたくさん出てきますしね。「勉強法」ともいえないような方法ですし、向き不向きもありますが、いったん習慣になると、「勉強」という努力は全くいらなくなります。要するに好きな本を好きなだけよむだけなので(笑)。方法自体はシンプルですが、これについて、かなり説得力のある著者の本を、説得力のある翻訳者(ロシア語同時通訳の米原万里さん)が紹介してくれてますので、興味のある方は一読して損はしないはずです。

ロンブ カトー『わたしの外国語学習法』(ちくま学芸文庫)

まぁ、結論は、「好きなようにいくらでも読めば」という「努力」でも「勉強」でもなく、「方法」ですらない方法なのですが、この本自体が面白いことは確かです。